こんなシチュエーションを想像してみてください。

犬と一緒に泊まれる宿を探しているカップルがいます。いい宿を見つけたものの、犬と泊まれるかどうか、サイトからは確認できません。夜間で問い合わせもできなかったため、他の宿も検討し始めます。結果、2番目に見つけた宿を予約してしまい、最初に見つけた宿の予約は取れませんでした。

宿側からすると、何も悪いことをしていないのに、予約を1件逃したことになります。

この記事では、こうした「営業時間外の問い合わせ」を解決するAIチャットボットについて、実際に作ったデモを交えて紹介します。既存のウェブサイトにコードを1行貼るだけで導入できる仕組みです。


宿泊業の「問い合わせ対応」でよくある課題

小規模で宿を営まれている方から、よくこんな声を聞きます。

  • 営業時間外や混雑時に、すぐ質問に回答できない
  • 回答を見逃しやすい
  • 同じ質問に何度も回答している

お一人やご夫婦で宿を営んでいる方にとって、時間もお金も無尽蔵にあるわけではありません。夜間だけスタッフを雇う余裕はありませんし、かといって作業の手を止めて電話に出るのも正直しんどいものです。

そんなとき助けになってくれるのがチャットボットです。24時間稼働してくれるシステムを導入することで、この問題を解決できます。


チャットボットには2つのタイプがある

チャットボットとは、文字や声で会話できるプログラムのことです。大きく分けて2つのタイプがあります。

1つ目はシナリオ型。 あらかじめ用意された選択肢に沿って答えるタイプで、よくある質問を順番にたどっていくようなものです。

2つ目はAI型。 生成AIが文章の意味を理解し、その場で答えを組み立てるものです。決まった受け答えだけでなく、たとえば「犬は泊まれますか?」のような、事前に想定していなかった質問にも、同様の情報を保持していれば答えることができます。

今回紹介するのは後者、AI型のチャットボットです。


実際に動かしてみた

架空の宿のサイトを作成し、そこにチャットボットを埋め込んでみました。部屋・料理・温泉といった情報が載っている、ごく基本的なサイトです。

基本的な質問

まず「犬と泊まることはできますか?」と質問してみます。数秒待つと回答が表示されます。

ポイントは、どこを出典として回答したかも一緒に表示されることです。クリックすると、よくある質問の「ペットと一緒に泊まれますか?」の項目に飛べるようになっています。AIが勝手に作り話をするのではなく、サイトに書いてある情報を根拠に答えている、というのが確認できる仕組みです。

約款を読み込まないと分からない質問

次に、もう少し意地悪な質問をしてみます。「台風でフェリーが欠航したらキャンセル料はかかりますか?」

この答えは、宿泊約款の条文の中にしか書かれていません。それでも数秒後には、違約金の項目にある「不可抗力による違約金の免除」を参照して、きちんと回答が返ってきました。

お客様が約款を隅々まで読むことは、まずありません。でもチャットボットなら、代わりに読んで答えてくれます。


副産物:お客様の「知りたいこと」がデータとして溜まる

このチャットボットには、もう1つ大きなメリットがあります。

質問と回答の内容は、Googleアカウントがあれば誰でも使えるGoogleスプレッドシートに自動保存される仕組みにしています。質問と回答に加えて、AIの生成に使ったトークン数(≒コスト)も記録されます。

質問が溜まっていくと、お客様がどこに疑問を持つのかが見えてきます。 「ペット可かどうか聞かれることが多いな」と分かれば、サイトのトップに大きく書けばいい。分析結果をもとに、サイトのデザインやテキスト、言い回しを変えるといった改善施策につなげられるわけです。


仕組みはシンプル

裏側の仕組みはこうなっています。

  1. 見込み顧客がウェブサイトを訪れて、チャットボットに質問する
  2. Googleスプレッドシートに紐付くGoogle Apps Scriptというプログラムが起動する
  3. AIが文章を生成し、スプレッドシートに記録する
  4. チャットボットに回答が渡され、画面に表示される

回答の元になる情報は、事前にウェブサイトから取得してデータベースに格納しておき、それをベースに回答を生成します。


気になるコストは「1問あたり約1円」

コストがかかるのは、AIが回答を生成する部分だけです。

今回使用しているのはClaudeのHaiku 4.5というモデルです。安価で応答も早く、このような文章生成には十分な性能があります。従量課金制なので使った分しかかかりません。回答コストは1問あたり約1円です。

もう1つ大事な点があります。一般的にチャットボットを動かすには自前のサーバーが必要で、月に数千円かかるのが普通です。しかし今回はGoogle Apps ScriptとGoogleスプレッドシートを使っているため、Googleアカウントさえあればサーバー代は無料。 ランニングコストがほとんどかかりません。

手が離せない時間の代わりに答えてくれるだけで、十分に元が取れると思います。


まとめ

  • 夜間の問い合わせや、日中の忙しい時間に取れない電話は、チャットボットで解決できる
  • コストは1問あたり約1円、サーバー代は無料
  • 質問データが溜まるので、サイト改善にも活かせる
  • 既存サイトにコードを1行追加するだけで導入できる

今回お見せしたのは架空の宿のデモですが、仕組みはそのまま実在の宿のサイトに載せられるものです。

「うちのサイトにも導入してみたい」という方は、お気軽にご連絡ください。

HP: https://www.memolync.com/contact
問い合わせフォーム: https://forms.gle/qEE1RnkSACNzb17g7